マスター「オグリの有馬ラストランの表彰式に森口博子がいたな」
ガミ「相当若い頃っすね」
オレ「オグリの身体を触ったら汗でビッショリ濡れてたって言ってたな」
マスター「走り終わってすぐだからな」
ガミ「あの汗をハンカチに染み込ませておけばオークションで売れたっす」
マスター「そんなコト考えるのはお前くらいなもんだぞ」
オレ「当時のレースの映像を改めて見て感動してたな」
ガミ「実況アナの『もうこれで十分です』って言葉に涙を浮かべてたっす」
マスター「それだけオグリの全力の走りには感動させられたってコトだな」
オレ「いい!素晴らしい表現だ。俺も感動した」
ガミ「その上に結果もついて来たんすから素晴らしいっす」
オグリキャップ(芦毛・瀬戸口厩舎)はとにかく懸命にゴール板を目指して走り続けた。引退することは前もって決まっていたことであるから『もうこれで十分です』という言葉はピッタリのシチュエーションであった。笠松から中央に転厩が決まって瀬戸口厩舎に所属することになって周りの面倒を見る厩務員に池江さんが指名された。池江さんと言えば弟が調教師であり、その弟の紹介で瀬戸口厩舎に勤めることとなったという。のちにディープインパクトをターフに送り大活躍をした調教師であるから回りの信頼も厚く「あんたのお兄さんなら大丈夫」と面接無しで採用になったという。当時を振り返って池江さんは入厩する10日前から眠れないくらい緊張したと語っている。そんな思い入れのある厩務員が担当についてオグリは幸せだった。人間味あふれる池江さんは人馬の垣根を越えて面倒を見てくれたのだろう。池江さんのオグリへの語りかけは優しく心に響いたのではないか。これらの情報もオグリファンはキャッチしていた。有馬のラストレースでウイニングランをして武豊騎手を鞍上に多くのファンが見守るスタンド前に差し掛かった時に「オグリ!オグリ!オグリ!」の大声援が競馬場に響き渡った。そして、声援は「ユタカ!ユタカ!ユタカ!」に変わり鞍上をねぎらった。そして、声援はそれで終わらず次に聞こえて来た声援は「イケエ!イケエ!イケエ!」だった。多くの名馬たちが大レースを終えウイニングランを披露したのを見ているが厩務員の名前をコールしたのを初めて聞いた。これは感動である。この瞬間を誰よりも嬉しく思ったのは池江厩務員本人だろう。
続く
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