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らすかるすずか
  北海道
早田牧場の血統遺産
2015/04/01 19:43

「早田牧場」と聞いて「おお!」と思う人は、恐らく30代半ば以上の方になると思う。
G1レースの日の新聞の馬柱に、昔はよく「早田牧場新冠支場」という生産者名を見たものである。

主な生産馬は、ビワハヤヒデ・ナリタブライアン兄弟(ただしビワハヤヒデは福島県の本場の生産である)、ビワハイジ、シルクジャスティス、マーベラスクラウンなど。
また、ビワ・ブライアン兄弟の母パシフィカスや、ブライアンの父ブライアンズタイムを輸入したのも早田牧場である。
1990年代、すでに日本の馬産の中心が社台グループへと移って行った中で、日高に拠点を置く大手の牧場の奮闘は、まさに面目躍如たるものがあった。

だが、「社台に追いつき追い越せ」とばかりに拡大路線をとった早田牧場は、そのツケが回って2000年代に入ると急速にその勢いを失ってゆく。
2002年、ついに自己破産。
ブライアンズタイムを擁する関連会社のCBスタッドも閉鎖に追い込まれる。
「日高の雄」の挫折は、日本の生産界が縮小を余儀なくされる時代の象徴でもあった。

ただ、早田牧場が遺した血統遺産は、その後も生産界において重要な働きを見せることになる。
アロースタッドに移ったブライアンズタイムは、タニノギムレットやレインボーダリアなど、活躍馬を絶えず送り出して、2013年に死亡するまで現役の種牡馬として存在感を発揮した。
また、繁殖牝馬たちもほかの牧場に移ってから更なる活躍を見せ、特にノーザンファームに移ったビワハイジは、ブエナビスタなどG1馬を含む5頭の重賞勝ち馬を輩出するなど、現代競馬に多大な影響を与えた。

もしも今でも早田牧場が存続していれば…。
ビワハイジの母アグサンやパシフィカスをどういう経緯で輸入したのか、サンシャインフォーエヴァーの代わりにブライアンズタイムを輸入した時の苦労話など、お話を伺う機会もあったかもしれない。
そのことが残念でならないが、ブエナビスタやブライアンズタイムの産駒たちなどこの血統遺産を受け継ぐ者たちが、一層日本の風土に根付いて、大きく枝葉を広げていってほしいと願うものである。

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